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2014年4月16日

コラム「さくら」

 

住まいは”巣”まい

「さくら」

日本人が最も好きな花のひとつは桜です。枯れて散るのではなく、美しいままに散る様は、その潔さゆえに武士の気持ちを象徴している花でもありました。

さらに稲の農耕の国として、桜と言う名の由来を持つとも言われます。稲の苗を「さなえ」と言うように、稲そのものを表す言葉が『さ』であり、農耕の精霊を表します。そして『くら』は、胡坐(あぐら)の「坐」であり、蔵にも通じ稲の精霊が宿り蓄えられる樹が、桜と言う名になりました。桜の花が咲くと正にその稲の精霊が満ち、風に吹かれて散るようにしてい水田に赴き、やがて青々とした稲穂の風景へと育ってゆきます。

また桜の木材としての性質は、材質が緻密(ちみつ)で硬くもなく軟らかくもなく、反りにくく折れにくく、工作も容易で用途も広くあります。器械や定規の道具に使われ、彫刻に使われることもあります。燃やすと良い匂いを発するので、薫製用のチップとして売られているものを身近に見かけます。

また樹皮が美しいのが特徴で、板材としての利用よりもむしろ樹皮が多く使われています。この桜皮は漢方薬としても使われていますが、赤味の強い褐色で、磨いて光沢の出た茶筒を見かけたことのある人は多いことでしょう。さらに、この樹皮の美しさを活かして床柱になることもあります。磨かれた樹皮だけではなく、さびのある樹皮も魅力的で、他材に桜の皮を貼ることもあります。例えば掛け込み天井の見切りの材として使われ、茶室で扱われることもあります。

庭先で眺める桜花は、日本人が好きな本当に一瞬の美しさですが、桜皮を施した一本の材を家のさり気ないところに使い、桜の花を忘れた頃にも心の中でその存在を楽しむのはいかがでしょうか。

(MISAWA・international 株式会社:社長 三澤 千代治)

 

[Weekly HABITA抜粋]

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