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2014年1月8日

コラム 住まい文化の栞「大工は人類初めての職業」

 

住まい文化の栞

「大工は人類初めての職業」


日本には長い歴史を持った企業が多く残っています。それは世界を見ても極めて稀なことです。

その中で最も古いとされるのが、京都の建設会社である「金剛組」です。四天王寺を建設する時から1400年の間メンテナンスをしながら建設業を営んできました。

2番目は、1000年以上前からある山梨の旅館です。旅館は詰まるところ、床(とこ)と食事のサービスです。

話しは飛びますが、イタリアのオーストリアの国境付近で5000年前の男「アイスマン」が見つかりました。彼の所持品である皮のコートやブーツから、この時代に既にプロとして仕立てていた人がいたことが分かりました。

生活の基本は、衣・食・住にあり、それを職業にしてみれば、仕立屋と料理人と大工です。これらの職業が最も古く生まれた職業であったと考えることも自然なことだと思います。

 

ところで日本語の「大工」という呼び名は、「金剛組」が司る仕事を知るとわかります。四天王寺の伝統的な年中行事として、年初に「釿始めの式」が行われています。

※釿(ちょうな)…鉋(かんな)ができる前の大工道具で、昔は木材を平に仕上げる道具として使われていた。
※釿始め…家の建築に際し、大工が仕事を始める日に行う儀礼。木造(こづく)り始め。斧(おの)始め。正月に大工が行う仕事始めの行事。

 

行事の儀式は、原木から製材し仕込むまでの行程を模(も)したものです。その式次第は、「杖打ち大事」から始まり、「墨掛け大事」→「糸引き大事」→「釿打ち大事」→「土器(かわらけ)出し」→「御酒返し大事」となります。ここに大工の名のヒントがあります。

石を扱う人を石工と呼び、機械工や印刷工の名が現代にあるように、上記にある「大事」を執り行う人のことを、大工と呼んだのではないでしょうか。長い歴史が残る日本語の中に、建築の仕事が「大事」と呼ばれていたことも大切なことです。人類が生まれてからできた専門職の中でも「大事」を扱う大工は筆頭であったのではないかと思えてきます。

そして大工が手掛けた建物を、大切にするのも住まい手の大事な礼節なのかもしれません。

 

[Weekly HABITA抜粋]

 

当社代表は、「金剛組」にて修行、技術を学んだ宮大工です。
★その他、コラム『住まいは”巣”まい』はこちら