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2013年8月19日

コラム「“抗菌”と上手につきあう」

 

住まいは”巣”まい

「“抗菌”と上手につきあう」


いま、私たちの身の回りに「抗菌」仕様のものが氾濫しています。日用品はもちろん、衣料品、文具、家具、住まいの建材にいたるまで「抗菌」の文字をよく目にします。確かに、雑菌を寄せつけず清潔であることが約束されているものは、使っていても安心できて気持ちが良いものです。

しかし、この「抗菌」志向が、神経質なほどに行き過ぎると、マイナス面が出てくることもあります。最近は「抗菌」仕様でなければ、不安で仕方ないという人も増えているといいます。ひどいケースになると、雑菌に触れることを恐れるあまり、外出できないという人がいるそです。

もともと人間の体は、様々な細菌や菌類に対し、免疫によって、ある程度の抵抗力を発揮できるようになっています。弱い菌に触れて体の中に抗体をつくることで、ちょっとした菌に出会ったとしても、それに打ち勝っていけるのです。そのためには、普段から免疫力を使っている必要があります。

たとえば、ここ数年、日本各地で騒がれている病原性大腸菌O-157ですが、ある国では日常的に存在するため、病気にかかる人はほとんどいないといいます。

このことは、住まいづくりにも大切なことを教えてくれます。過剰なまでに衛生的な暮らしは、子どもの成長期において、様々な菌に触れる機会を奪い、それによって正常な免疫を獲得できなくするともいわれます。住まいの中では、無菌状態の快適な暮らしを送れたとしても、一歩外に出た途端、菌に負けてしまうようでは、本末転倒もいいとこです。

もちろん、不潔が良いというわけでも、「抗菌」を否定しているわけでもありません。過剰なまでに全ての菌を排除し、人間を必要以上に過保護にしてしまうのではなく、特に有害な菌だけを取り除く「抗菌」…そんな考え方を上手に取り入れていくのが、人の体に程よい「抗菌」仕様の住まいづくりではないでしょうか。子どもや孫たちが、将来どんな環境にも適応していける力をつけることも、住まいの大切な役割なのです。

たとえば、ビニールクロスは今や色々な性能を兼ね備えたものになっています。抗菌、消臭、防カビ、汚れのつきにくい加工を施したもの…。しかし、どんなに「抗菌」効果があるビニールクロスでも、それは目に見えて実感できるものでも、体感できるものでもありません。

「抗菌」と表示されているだけで満足するよりも、きちんと効果や性能を理解しておくことが大切です。

昔ながらの壁材、漆喰はアルカリ性で、病原体・カビ・雑菌が繁殖しにくい環境の成分でできています。調湿・防臭効果があり、化学物質の吸着効果に優れています。日本だけでなく、世界各地で風土や文化に応じた漆喰が古くから使用されています。最近では、素人でも簡単に塗れるような漆喰もあります。きちんとした効果と理由があることを語りながら、家族で壁を塗るという体験をしてみてはいかがでしょうか。自然素材の効果を実感することができ、子どもや孫たちにも、よい住まいの環境ができるでしょう。

[Weekly HABITA抜粋]

 

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